結果発表

「都市における小住宅」をテーマにした
住宅設計アイデアコンペにおいて、
一般の部の応募総数は62件(エントリー数278件)、
学生の部の応募総数は192件(エントリー数637件)となりました。

下記のとおり入選者が決まりましたので、発表いたします。
全国各地から、数多くの作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。

一般の部 入選作品

最優秀賞
1点

梁箱の家森 創太(nmstudio) 蜷川 結(nmstudio)

講評
環境に対する取組み含め全てに非常にリアリティがあり、シンプルでわかりやすい提案である。開口部と床の位置の関係性が絶妙で外観と内部空間を両立させている。庭との関係性や街の景色の採り入れ方など気持ちよさそうな計画となっている。

優秀賞
1点

すきま風の吹く家渡部 総一郎(フリーランス)

講評
建物全周に風車のように規則的に入れたスリットが、光や風の入れ方・プライバシー・可変的な使い方などよく検討されている。将来的に個々に閉じた場合には共同住宅としても成り立つストーリー性もよい。スリットの鋭角部分の仕上げ方などのディテールにもリアリティがあるとよい。

ユーザー賞
1点

ウッドフレンズの住宅購入者さまにアンケートにて、
入選作品から“住んでみたい”と思う家に投票いただき、集計いたしました。

二重格子の家下村 啓太(株式会社フジタ)

講評
木格子が街に対して開くか閉じるかの中間をうまく生み出しており、都市の雑多な景色の消し方、プライバシー性、日射遮蔽の調節など都市や環境に対するアプローチが表現されている。また格子による外観・内部空間がとても美しく、木格子の家として商品化できそうな作品である。
ユーザー 講評
・外からの視線も気にならずカーテン要らずで
    明るい印象がいい。
・二重格子を通る光がとても幻想的で素敵。
・リビングの天井が高いので開放的で良いと
    思いました。
・木のぬくもりが感じられる自然な雰囲気が良い。

入選
3点

  • 集合家族車塚 千穂(住友林業株式会社)

    講評
    中庭と2階のブリッジの関係性がコミュニティを生み出しそうな空間となっているのが魅力的だが、その様子がパースで表現されていると良かった。環境に対する提案も現実的なディテールで計画されている。
  • 深さの家山口 貴司(山口貴司建築設計事務所)

    講評
    コンセプトが明快でわかりやすく空間的に面白い提案である。開口の大きさとプライバシーの関係性のアイデアも良い。しかしアイデアレベルでなく実務に落とし込めるレベルでの検討やこの構成が環境に対する提案につながる工夫があるとよい。
  • Carporative-House七野 太亮(フリーランス) 黒岩 祐也(フリーランス)

    講評
    シェアリングやモバイルは次世代の家のあり方として起こりえそうな案であり、新たな住まい方を提示している。上にバルコニーが計画されているところに家っぽさが表れており面白いが、キャンピングカーとの明確な違いや、箱として閉じるのではなく開き方の工夫により街との関係性の提案があるとよい。

学生の部 入選作品

最優秀賞
1点

重層する家松本 樹(愛知工業大学)

講評
都市と環境のそれぞれのテーマについて真摯に取り組み、バランスよくまとめられた作品である。入れ子状の安心感のある空間、光を取り入れた明るく気持ちのよい空間が都市に快適に住まう提案となっている。また、ぼんやりと光るが閉ざされた外観が街に新たな景色を生み出す可能性がある。ドローイングの技術も高くプレゼンも評価に値する。

優秀賞
1点

「ひらいちゃう」いえ権藤 弘之(東京工業大学)

講評
引っ越してきて街に馴染むまでのストーリー性、家と気持ちが少しずつひらいてゆく発想が独創的である。ひらいてきた部分が軒になり、街との緩衝帯としてはたらき関係性が生まれているのも良い。ヒノキの反る向きが実際とは異なるためリアリティには欠けるがアイデアを評価する。

入賞
8点

  • 家をめくる。柴薮 綾介(千葉大学大学院)

    講評
    「めくる」発想は日本の障子の進化版のアイデアと言える。外観はモダンであるが内部の考え方は和風なのが面白い。しかし全面が窓ガラスありきの提案であることに矛盾を感じる。また外装のリアリティや木造らしさがあると尚良かった。
  • 日の木の家阪出 拓実(広島大学)

    講評
    屋根の隙間など環境的な仕組みの提案は良いが、ファサードなどもう少しデザインに消化されていると良い。紫外線がプロテクトされたヒノキの家のイメージは新しさを感じる。しかし両サイドを捨てた提案のため、敷地の選定は長屋の一部などの方が向いていると思われる。
  • TOKYO陰日向北嶋 晃大(日本大学)

    講評
    都市に対して適度に閉じ、スリットからの光や風の入れ方がうまく考えられており気持ちが良さそうな空間となっている。またスケールに配慮した分棟のデザインも理にかなっている。模型からも住んで楽しいイメージが伝わる作品である。
  • 大きなテーブルと小さくて大きな離れ前芝 優也(東京都市大学大学院) 坂本 崚(東京都市大学大学院)

    講評
    箱の中に箱を入れる構成はその隙間に新たな空間を生み出す可能性があり面白い提案である。しかし離れと内部の関係性や、湾曲している外周部のデザインと外部との関係性などディテールをもう少しつめるとよい。
  • 生きる家奥村 収一(大阪工業大学) 上山 美奈(大阪工業大学)

    講評
    よく都市にありそうな隙間を使った明快で面白い提案である。奥まるにつれプライベート感が強まっていくのがわかりやすい空間となっている。また家にはまず寝る場所さえあればよいという考え方が社会的に面白い。環境に対する提案がもう少しあると尚良かった。
  • 大黒壁住宅竹内 翔平(名古屋大学大学院)

    講評
    中央の壁が家全体の温熱環境を調整する仕組みが、環境のテーマに対する提案が形にあらわれていて良い。床面積は少ないが吹抜けを設けることで広がりを感じる空間となっている。しかし壁を中央に計画することにより空間を分断しており、中央に計画するのがベストであるかは疑問である。
  • モノオキのある暮らし吉田 聖(東京大学) 井関 瑞生(東京大学)

    講評
    「モノ」に対する考え方、様々な人々が共存する住まい方に対する考え方など社会的なテーマを盛り込んだ作品である。プライベートな閉鎖的な空間とモノオキの仮設的な空間の対比がよいが、モノオキでのコミュニケーションが生まれる工夫など地域とのつながりまで発展した案があるとよい。
  • 日陰を楽しむ小さな家中尾 有希(鹿児島大学)

    講評
    太陽光パネルを搭載したファサードは実務設計において常に課題となるが、ひとつの回答となっており現実性が高い。しかし、全面の太陽光パネルの屋根に設けたトップライトが日陰を楽しむコンセプトを曖昧にしているように感じる。

審査員総評

若林 亮

株式会社日建設計
設計部門代表

日本家屋では、夏の日差しを遮る深い軒庇や簾、寒暖のある外気との緩衝帯になる縁側、路地との視線を程よく遮りながら風を導く格子など、素朴な環境手法が培われてきた。これらの環境の形を発展・進化させ、いかにこれからの「都市の中の小住宅」の中に昇華させるかがテーマであり、入選作の多くは正面からこのテーマに取り組んだ力作であったと感じる。
一方で、小住宅が対面する都市や近隣との距離・関係を提案・形にできているかが、もう一つのテーマであり、学生の部では縁側を介して前向きに都市や近隣に家を開く案が多くあった。ネット社会では内向きな若者が多いと言われながら、そのような案が多かったことはとても嬉しく驚きであったが、いずれの案も本当に家を都市に開くことのリアリティが感じられれば尚よかったと思う。
いずれにしても、考えをまとめて図面に表す作業は、大変なエネルギーを費やすことに違いなく、参加して下さった皆さんに感謝すると共に、その努力が皆さんの力や経験になったことを願う。

加茂 紀和子

株式会社みかんぐみ
代表

全体的に環境負荷をコントロールする快適な空間、都市との程よい距離感をもつ明るい提案が多かった。高性能な環境装置(ZEH)、あるいはCLT工法等のあらたな空間の可能性が示された案の中で、総合力、実現性が高く評価されたという結果となったと思う。
個人的には人間力が建築空間と相俟って「住まい」をつくってゆくというような提案に惹かれた。学生案の「ひらいちゃう」案では、そこに住まう人のためらいや都市へのふるまいかたがユニークな形として表現されており、「モノオキのある暮らし」案は、モノをシェアする仕組みがあいまいに人をつなげる関係をつくり、記憶装置となるという、現代の都市居住というテーマへの回答の代表だった。若干それらが物語的で理想主義に思えるかもしれないが、住宅という人の暮らしの知恵の器であるという不変の有り様が描かれていた。

吉田 祥子

株式会社ウッドフレンズ
執行役員 CTO

日本においては少子高齢化が進み、人口減が始まっている。一方家族、住まいは細分化、多様化していっている。郊外では空き家が目立ち、都心集中は当然の成り行きである。又エネルギー問題が依然として横たわっており、住宅の省エネ化は避けて通れない。高齢者にとってみても、高断熱化は健康上の理由であるべき方向である。住宅を日々提供している当社としては、住宅とはどうあるべきか、社会の状況を踏まえた都市における小住宅、外気とのエネルギーのあり方に対する住宅はどうあるべきか日々悩んでおり、素敵な回答を期待して今回のテーマを設定させていただいた。
コンペのテーマとして①都市の中住宅②環境住宅という2つの課題があり、それをバランスよくプランや造形に表現できている作品が受賞作品となったが、受賞作品以外の作品についてもアイディアの一部が優れているものがあり、今後の当社の商品企画に取り入れさせていただきたいと思わせる力作もあった。